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所 長 工学博士 久保田 正明 |
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近年における我が国の経済発展は科学技術の進歩をもとにした産業技術の革新によってもたらされました。今や我が国は世界有数の経済力を持つ技術先進立国として,来るべき21世紀を迎えようとしています。しかしながら,地球規模での環境汚染や資源・エネルギー問題の顕在化に伴い,従来とは異なる価値観に基づく新しい技術開発が求められるようになりました。それと同時に,人類共通の課題に対する国際的な技術貢献が我が国に対しても強く望まれるようになっています。 当所としても,このような状況を認識し創造的な研究に基づいた革新的な技術開発を推進していくことが重要と考えています。当所が所掌する「物質工学」は,化学及び材料に係わる研究分野です。物質工学によってもたらされる物質創製技術あるいはそれが作り出す物質・材料は,化学産業のみならず電子,電気,機械,食品,医薬,農薬等あらゆる産業の基礎となるものです。当然ながらその技術あるいは物質・材料は,省資源,省エネルギー,環境調和性,安全性等に優れたものでなければなりません。このような考え方は産官学いずれにおいても必要であり,最近はその方向に沿って一斉に研究開発が進められようとしています。その中にあって国立研究機関が果たすべき役割とは,長期的視点に立って次代の産業技術の革新に結びつく戦略的研究を立案し,産学との協力体制を構築してその推進役を務めるところにあります。また,公共性,社会性,国際性の観点で意義のある研究課題に対してもその困難性に拘わらず組織的に取り組むことが必要です。さらには,上記研究開発の基盤となる,化学物質の標準,安全データベース等に関する研究も,国の機関が主体的かつ継続的に関わるべき課題です。 これらの研究を遂行するうえで,優れたスタッフ,充実した研究資源と環境,適切なマネージメントシステムは重要な三つの要素です。基礎から開発,応用に至る幅広い分野の専門家と恵まれた施設・機器類を有する当所の特長を生かし,機動的かつ柔軟な研究体制の整備をさらに進めることにより,課せられた使命に応えていくつもりです。これまでの皆様方のご支援に感謝の意を表しますとともに,今後とも一層のご指導ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申しあげます。 平成 9年 7月 |