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近年,エネルギー問題の解決のために,光合成を模倣した人工光合成システムの構築が盛んに試みられている。天然の光合成では,吸収された光のエネルギーによって電荷分離が起こった後,電子は一方向にのみ移動し,吸収された光のエネルギーは効率よく化学エネルギーに変換される。しかし人工のシステムでは,電荷分離の後,逆方向の電子移動がすぐに起こってしまい,吸収された光のエネルギーは熱になって逃げてしまう。人工光合成システムの開発の成否は,この逆電子移動をいかに抑えられるかにかかっている。 当所ではこうした人工光合成システムや電子移動を利用した分子素子の実現を目指して,電子移動制御に関する理論的研究を行っている。電子移動の速さが分子間距離,反応エネルギー変化,溶媒,温度等の物理的因子にどのように依存するかを明らかにするとともに,その知見に基づいて,効率よく逆電子移動を抑えるための分子間距離やその幾何学的配置等の様々な条件を理諭的に解明することを目指している。 電子移動の速さを決める因子は何か?
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