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1000℃程度の,比較的穏和な条件での熱分解により作られた炭素は,炭素が本質的に持つσ結合やπ結合に基づく多様な形態・電子構造に加えて,熱分解中に生成した各種ラジカルや水素原子がその構造中に存在することから,磁気・電気・触媒材料などのような,よりフアイン化された次世代の機能材料としての広がりが期待される物質である。 このうち,複写機のトナーや核磁気共鳴診断装置用造影剤等の用途が期待されいてる炭素質磁性材料は,今から7〜8年前にその可能性がロシアの研究グループから報告されて以来,各国で活発な競争が行われてきたが,当所では各種有機化合物モノマーの熱分解反応を幅広く検討した結果,アモルフアス構造と磁性発現が密接に関連していることを見いだし,見かけの常温飽和磁化が金属ニツケルの数分の1程度の磁性体の合成に,世界に先駆けて成功した。こうして得られた磁化の値は,すべての炭素上に強磁性スピンが存在するとした場合の高々3%強ではあるが,この程度の値でもトナー等に用いるためには十分であり,量産が可能になれば実用化も夢ではない。今後,構造のより厳密な解析とともに,磁性以外の新機能の創出をも見据えた検討を行つていく。
磁石に付着した炭素質磁性体 |