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軽油の品質改善用高性能触媒を開発


(Pd-Pt/Yb-USYゼオライト触媒により、品質改善軽油中の硫黄量<20ppm、多環芳香族量<1%を達成)

機能表面化学部 触媒材料設計グループ
葭村 雄二


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背 景

@ 環境庁の中央環境審議会答申(1998年12月14日)によれば、2002年度末を目途に長期目標達成に向けて軽油品質が決定される予定。東京都のデ−ゼル排ガス規制強化により、硫黄量の50ppm(〜30ppm)以下への低減が前倒し的に要求されている。

A EUでは、2005年に硫黄量が50ppm以下に低減される予定。長期的には10ppmに向けた検討も行われている。多環芳香族規制に関しては、現在検討中らしい。

B 軽油の品質改善技術は、エンジン改良技術や排ガス処理触媒を補完する技術であると同時に、現行車や中古車、更には現在未規制の特殊自動車(建設機械、産業機械、農業機械等)からの粒子状物質の低減にも有効な即効性が期待できる技術。

C 硫黄や多環芳香族の低減したクリ−ンな軽油を用いれば、フィルタ−や粒子状物質酸化触媒の装着無しでも粒子状物質をある程度低減可能(全ディ−ゼル車から広く浅く低減可能)。 SPM低減率は20〜30%程度が期待できる。

D 平成6年〜9年度に実施した公害特別研究(工技院資源環境技術総合研究所との共同研究)によれば、軽油中の芳香族量を7.2%(内、多環芳香族は0.8%以下)に、硫黄量を43ppmにすれば、原料軽油(芳香族量=約26%(内、多環芳香族は約5%)、硫黄量=約240ppm)に比べ、粒子状物質が約20%低減した。開発した触媒は、パラジウム−白金/セリウム含有超安定化Y型ゼオライト触媒。

今回新規に開発した触媒の特徴

@ 従来、物質研で開発されたパラジウム−白金/セリウム含有超安定化Y型ゼオライト触媒の改良(耐硫黄性の向上、耐窒素性の向上、寿命改善等)を行い、次の触媒を共同開発した。
   開発触媒:パラジウム−白金/イッテルビウム含有超安定化Y型ゼオライト触媒(Pd-Pt/Yb-USYゼオライト触媒)。
          尚、イッテルビウムYbは希土類元素。
          パラジウムと白金の担持量合計は1.2重量%

 反応に使用した原料軽油(市販されている軽油と同等のもの):
      硫黄量=263ppm,
       全芳香族量=26.3重量%(内、多環芳香族量=6.9重量%)

          蒸留性状: IBP(217℃)、10%留出温度(253℃)
            50%留出温度(299℃)、90%留出温度(350℃)
            EP(374℃)

 反応条件:反応圧力=40kg/cm2G、反応温度=280℃、
      WHSV=4h−1、 水素/原料軽油供給比(体積比)=500Nl/l
      通油時間=約200時間(短期寿命試験)

 得られた品質改善軽油の性状:
      硫黄量=17ppm,
       全芳香族量=4.5重量%(内、多環芳香族量=0.8重量%)

          蒸留性状:IBP(187℃)、10%留出温度(238℃)
            50%留出温度(294℃)、90%留出温度(348℃)
            EP(373℃)

A 本開発触媒を用いれば、温和な条件下で超深度脱硫(S<20ppm)と芳香族低減を同時に可能。通常の商業深度脱硫の条件は、反応圧力が50kg/cm2程度であり、また、WHSVも4h-1以下であるため、開発触媒をこれらの商業精製条件で使用すれば、硫黄及び芳香族量も更に低減できると予測でき。

B ゼオライトの固体酸性が抑制されているため、耐窒素性が向上、また、軽油成分の過分解(ガソリン留分への軽質化やガス生成)が抑制されている。ただし、一部は灯油留分まで軽質化している。

C S<30〜50ppmとなると、現行の硫化物触媒ではその使用量が現在の使用量の数倍必要になると言われている(処理量の低減(WHSVの低減)、触媒充填量の増加、反応器の増設等が必要)。脱硫反応は反応温度を高めるほど進行するため、活性低下に伴い反応温度を上昇させることにより(温度補償)、脱硫活性を維持できるが、反応温度が高まると芳香族量が逆に増加する(水素化されたものが脱水素され芳香族化する熱力学的な制約)。

D 本開発触媒は、次のシステム(二段反応)での利用を想定。
原料軽油(硫黄量=約1〜2%)→現行の深度脱硫反応塔(1段目)
(硫黄量<500ppm)→開発した貴金属触媒反応塔(2段目)(硫黄量<10〜30ppm、多環芳香族<1wt%)
ただし、1段目反応塔と2段目反応塔間で、ある程度の硫化水素やアンモニアの除去操作が必要となる。

E 本開発触媒の工業化を想定し、工業化試作触媒も併せて共同開発した。
Pd-Pt/Yb-USY-Al2O3-B2O3及びPd-Pt/Yb-USY-Al2O3 触媒(1/16インチ押し出し成型体)
モデル化合物(テトラリン)を用いた実験で、触媒性能を確認済み。

 現在、触媒化成工業且瘴シ工場で、ベンチ装置を用いて長期寿命試験(2000時間)を実施中。


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