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配列した多層カーボンナノチューブの合成用触媒を開発


−−−薄型壁掛けテレビの実用化を促進


フロンティアカーボンテクノロジープロジェクト研究共同体
物質工学工業技術研究所


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 フロンティアカーボンテクノロジープロジェクト(略称:FCTプロジェクト)研究共同体(本部:(財)ファインセラミックスセンター、東京)に参加している物質研(化学システム部湯村守雄分子反応工学グループリーダー、同グループ吾郷研究官)は、平成10年度より開始された通産省の産業科学技術研究開発プロジェクト「炭素系高機能材料技術」(フロンティアカーボンテクノロジー)において、カーボンナノチューブの合成技術の開発を進めていたが、この度、配列した多層カーボンナノチューブの合成用触媒を開発した。本方法は、薄型壁掛けテレビ等の実用化を大いに促進するものと期待される。

 カーボンナノチューブは1991年に日本の飯島博士により発見されたが、最近になって、次世代の省エネルギー且つ高輝度の大画面平面表示フィールドエミッションディスプレイ(FED)の冷陰極電子源の材料として注目されている他、色々な分野への応用が図られている。

 近年、ナノチューブの化学蒸着(CVD)法による合成が注目を集めている。それは、これまで用いられてきたアーク放電法やレーザーアブレーションと比べて、(1)大量生産が可能である、(2)比較的低温で反応が進行する、(3)配向制御が可能である、といった利点があるからである。
 このCVD合成において、大きな鍵を握るのが金属触媒であり、この触媒は微粒子でないとナノチューブが成長しないことが知られている。これまで、ナノチューブ成長への金属微粒子を作製するのに、ゼオライトやポーラスシリコンなどの細孔に埋めてやる方法、金属薄膜をレーザーやマイクロ波などでエッチングしてやる方法、及び有機金属錯体の熱分解により微粒子化してやる方法などが用いられている。しかしながら、ナノチューブの成長や直径を制御してやるためには、より制御された金属微粒子を用いることが望まれる。またプロセス的にも、一番実用化が近い電界放出型ディスプレイなどへの大面積化に対応するため、よりハンドリングがし易い微粒子の調製法が望まれている。

 そこで本研究では、このような金属微粒子を逆ミセル法という化学的手法をもちいることによって合成し、そのナノチューブ成長用触媒への応用の可能性を検討した。逆ミセル法とは、表面活性剤に囲まれた微小な空間の中で金属イオンを還元することによって金属ナノ粒子を合成する手法であり、金や銀などのナノ粒子の合成にはよく用いられている。今回、この手法をナノチューブの触媒として働くコバルトに適用し、図1に示すような4 nmの平均直径を有するコバルトナノ粒子を得た。

 図1のナノ粒子を基板にキャストして、800-900 ℃でアセチレンの希釈ガスと反応してやることによって、図2に示すような多層カーボンナノチューブの配向膜を得ることができた[1,2]。ナノチューブの成長にはコバルトの状態や反応温度などいくつかの因子がナノチューブの配向膜に効いていると思われるが、同じ方向に成長するのはナノチューブの成長速度とガスの濃度が適当な平衡関係にあり、一方向からのガスの供給が行われているためと推測している。また反応条件によっては図3のような構造をとることも分かっており、この電界放出特性も新たな可能性を期待出来る。現在、すでに図2の配向性膜において電界電子放出を確認している。

 本触媒液は大気中で安定で、ハンドリングが容易で、スクリーン印刷法や、インクジェットプリンターとの組み合わせで、容易に大面積化やパターニングが出来、また、曲面上への塗布も可能であり、様々なカーボンナノチューブを用いた電子源、電極への展開が期待できる。

図-1
図 1 コバルトナノ粒子のTEM像

図-2
図 2 コバルトナノ粒子を触媒として合成した配向性カーボンナノチューブ膜のSEM像

図-3
図 3 配向性カーボンナノチューブ膜の種のSEM像


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