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1.背 景
2,6-ジメチルナフタレン(2,6-DMN)は、最近その高耐熱性・高ガスバリア性などの特性から需要を伸ばしているポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂の原料前駆体として有用です。PEN樹脂の優れた物理特性の発現は、2,6-DMNの分子構造すなわち剛直なナフタレン環と対称性の良い位置に置換されたメチル基に由来していると考えられますが、ナフタレンとメタノールを出発物質とし、直接2,6-DMNを合成する方法は、ナフタレン環の他の位置に置換された異性体が多く生成するなどの理由から実際の製造プロセスに採用されるには至っておらず、現在はBP-Amocoによりo-キシレン・ブタジエン法で製造されています。しかしながら、ナフタレンからの直接合成法は、鉄鋼副産物タールの有効利用の観点からも安価なメタノールの有効利用の観点からも大きな意味を持ち、効率のよい製造方法の開発が望まれています。
一方、超臨界流体を用いる合成反応は、通常の気体や液体の反応場に比べ、大きな反応性を持つと期待されており、また、触媒活性を低下させるコーク先駆物質等を触媒表面から洗い流す効果により、触媒寿命を向上させる効果も期待できます。
2.超臨界メチル化反応の概要
一般的に、対称性の良い分子を形状選択的に合成する手法として、数Å(オングストローム=10-10m)の微細な孔を有するゼオライト触媒を用い、例えば図1に示すように、窮屈な細孔内で反応させることにより、最も対称性の良い分子だけを合成する方法があります。
図1:ゼオライト細孔内での形状選択性発現機構のモデル
この場合、形状選択性を十分に発現させるためには、ゼオライトの細孔径・細孔構造、反応基質・反応生成物・反応中間体の立体的関係を精密に制御する必要があります。しかし、反応基質とゼオライトの細孔は、「鍵」と「鍵穴」の関係にあり、かつ、それぞれのサイズは決まっているため、自由に制御することはできません。
図2:超臨界メチル化におけるメタノール密度と形状選択性の関係
従来の気相反応では、最適なゼオライト細孔径の選択、金属元素の導入又はゼオライト酸点の調節、外酸点の被毒等により、形状選択性の向上が図られていますが、2,6-DMNと2,7-DMNの生成比は1.4〜1.7程度であり、鍵と鍵穴の関係を脱却するには至っていません。これに対して、超臨界メチル化では、形状選択性の高さもさることながら、反応条件を変化させることにより形状選択性を制御することが可能であるという点で画期的であると考えられます。
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