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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NED0)の委託事業である産業科学技術研究開発プロジェクト「独創的高機能材料創製技術−分子協調材料−ミクロホーラス材料」において、(財)化学技術戦略推進機構と当研究所のグループは、ゼオライトの応用分野の拡大に道を開く、ゼオライト結晶の形態制御技術[動的バルク体溶解(DBMD)法]を開発し、この技術を応用することによって、ゼオライトのみから成る管状成型体を合成することに成功した。
一片の石英ガラス管(長さ約16.5mm、外径約10mm、内径約8mo;Si02換算約17.5mmo1)を圧力反応容器用PTFE内筒(容積23mL)中にPTFE棒を用いて固定し、この中に水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAOH)、フッ酸(HF)および約50mgのMFI型ゼオライト種結晶を含む水溶液を満たした。この圧力反応容器を垂直に約10rpoで回転させながら200℃で61日放置した後、その内容物を取り出すと、管状のMFI型ゼオライト成型体が得られ、その形状は原料のガラス管と同一であった。 ゼオライトは多孔質の結晶性材料で、その細孔径やその間隔が正確に一定な物質であ る。分子篩とも呼ばれるこの物質は、細孔径が1ナノメートル(百万分の1ミリメートル)以下でちょうど低分子化合物の分子サイズと同程度であるため、産業分野でイオン交換材料、吸着分離材料及び触媒などとして用いられる重要な材料である。 しかし、ゼオライトは一般に数〜数十マイクロメートル(千分の1ミリメートル)程度の小さな結晶で得られることが多く、その応用がきわめて限られていた。自由な形態のゼオライト成型体が製造できれば、従来実現することができなかった、自由な形態の膜状ゼオライト成型体触媒を利用する効率の良い触媒プロセスの開発を促進することができる。さらにDBMD法を用いると容易にガラス毛細管の内部をゼオライトに変換できるので、このような毛細管を用いたマイクロリアクターを設計することも可能であり、さらにコンピュータ技術と組み合わせることによって、迅速に多種類の触媒反応プロセスを評価するような装置等への応用も期待されている。 ここで開発した動的バルク体溶解(DBMD)法は、原料の二酸化珪素および酸化アルミニウム成分を先に成型し、これを表面からゼオライトに置換して行き、最終的に成型体全体をゼオライト結晶に置換することを特徴とする。この技術を利用して、繊維状及び織物状ゼオライト成型体が合成されている。 ゼオライト類の形態制御は、産業上でのゼオライトの応用において重要な技術課題となっているので、DBMD法は一つの実践的な解決策を示すものと考えられる。DBMD法は、様々な形態のゼオライト成型体の合成に適用でき、従来の合成技術により蓄積された知見をそのまま適応することができる方法であるので、今後の研究開発によって、より自由な形態制御手法へと展開されることが期待される。 |
Fig.1 DBMD法で合成された管状MFlゼオライト成型体の外観(後に1cmxlcmの方眼グリッドを示した。)
Fig.2 DBMD法で石英ガラス管がゼオライト結晶と置き換わっていく様子
A: 28日加熱処理した石英ガラス管の断面(表面のガラスがゼオライト結晶に置き換わっている。)
B: 61日加熱処理した石英ガラス管の断面(完全にガラスがゼオライト結晶に置き換わっている。)
Fig.3 DBMD法での結晶化方法の概念図
Fig.4 石英クロスをDBMD原料として用いて合成した織物状ゼオライト成型体。
A) 織物状ゼオライト成型体の外観(後に0.5cm x 0.5cmの方眼グリッドを示した。)
B) 織物状ゼオライト成型体の走査型電子顕微鏡写真