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物質研、認証標準物質の生産、供給の開始について


標準物質業務室 室長
原田  泰


 (1)概 要
 経済産業省産業技術総合研究所物質工学工業技術研究所は国家標準物質としての認証標準物質の生産を行ってきましたが、平成13年3月末より一般供給を開始します。

 供給する標準物質は、エタノールなど有機純物質3種、GaAs/AlAs(ガリウムヒ素/アルミニウムヒ素)超格子標準物質、高分子引張弾性率標準物質の合計5種です。

 有機純物質の頒布は物質研より、超格子標準物質は(財)大阪科学技術センターより、高分子引張弾性率標準物質は(財)化学技術戦略推進機構より行われます。

 (2)供給される標準物質について
 今回、供給する標準物質は以下の5物質です。

 (有機純物質)

 (表面分析用標準物質)


(注)NIMC CRM5201-aの認証値は21種類あり、上記の値はSL001の場合です。

 (高分子物性標準物質)

@有機純物質標準物質
 有機純物質標準物質として今回供給する3物質は液体で15ml褐色ガラス製アンプルに封入され-20℃で保管されます。認証値は凝固点降下法で求めた純度(mol/mol%)です。 これらの標準物質は計量法の校正事業者認定制度(JCSS)のトレーサビリティ確立のために基準物質として供給されるものです。

A表面分析用標準物質
 今回生産された標準物質は、GaAs基板上に有機金属気相成長法によりGaAsとAlAsを積層させた1cm角の薄膜です。認証値はX線反射率測定法で求めた表面3層の層厚(nm)です。 この標準物質は、オージェ電子分光、X線光電子分光、二次イオン質量分析などにおけるイオンスパッタリングによる深さ方向分析の測定条件の調整に用いられます。

B高分子引張弾性率標準物質
 この標準物質は塩化ビニール製のダンベル形試験片で、認証値はJIS K 7161:1994(ISO 527-1:1993)(プラスチック−引張特性の試験方法 第1部通則)の試験方法に従って測定された引張弾性率(MPa)です。
 この標準物質は、プラスチック材料の引張弾性率の測定における試験精度管理、測定値の正確さの検証、測定者の技術評価などに用いられます。

 (3)経 緯
 @計量標準の国際化に対応する品質システムの構築
 国際的な計量標準の国家間の整合性を確保する動きの中で、物質研は化学標準に関する日本の国家計量研究機関として、ISOの基準に合致する品質システムを整備することになり、1998年4月に環境標準物質特別研究室に品質システム構築のためのグループを設置、1999年4月より標準物質業務室による標準物質生産のための品質システムの運用を開始、さらに文書システムを整備し2000年4月から本格運用を始めました。

 A標準物質の認証
 2000年3月にエタノール純物質(NIMC CRM4001-a)が認証され、11月にそのほかの4物質が認証されました。

 B頒布体制の確立
 外部供給を行うために、表面分析用および高分子標準物質の頒布を外部機関に委託する体制を整備し、2001年3月に2機関との間で頒布に関する覚書を締結しました。

 (4)標準物質の認証と国家標準物質について
 @標準物質の認証
 (標準物質生産のための品質システム)
 標準物質は化学の分野で測定を行う場合の基準となる物質で、正確な値付けが必要です。標準物質の生産に関しては国際的にISOガイドの30シリーズがあります。

 (標準物質の認証の要件)
 標準物質生産者はISOガイド34(標準物質生産者の一般要求事項)に従った品質システムを整備し、適正な手順に従って生産し、値付けの妥当性を確認することにより、「認証標準物質」とすることができ、ユーザに供給することができます。
 生産者は、ユーザが開封するまでの品質(この場合は認証値)を保証することと、ユーザからの問い合わせ、苦情に適切に応答すること、何らかの変更があった場合にユーザに通知することなどが求められます。

 A国家標準物質
 計量標準は、各国で国家計量標準を頂点とする体制を整備するとともに、各国の国家計量標準の整合性を国際的に確認することで、世界的な統一が図られています。
 物質研は、日本の化学物質に関する国家計量標準を供給していますが、今回国際的な整合性の確保のために、ISOの品質システムを整備し、これにしたがって生産を開始しました。

 BNIMC CRM
 NIMC CRMとは、National Institute of Materials and Chemical Research Certified Reference Materialの略で、物質工学工業技術研究所認証標準物質を意味します。

 C国際的な登録
 国際的な国家計量研究所間の相互承認協定(グローバルMRA)の付属文書Cに、有基準物質を日本の国家標準物質として登録しました。

 (5)産総研での体制
 産総研では、計量標準総合センター(計測標準研究部門、計測標準管理部、計量研修センター、国際計量協力室)が日本の国家計量標準の管理体となります。今後はこの体制の中で標準物質生産の品質システムが運用され、認証が行われます。


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