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イオンビームによるナノチューブの新合成法

極限反応部 レーザー反応グループ
古賀 義紀
山本 和弘


 工業技術院物質工学工業技術研究所(所長:久保田 正明)では、今回スス(アモルファスカーボン)へのアルゴンイオン照射により炭素ナノチューブの合成に成功した。本成果は、平成8年度より行っている工技院産技課題の先導研究における『炭素系高機能材料研究開発』のテーマの中での成果である。これらの成果は、平成10年度から開始される産技課題『フロンティアカーボンテクノロジー』で、物質研集中共同研究(企業、大学、国研及び海外研究機関も含む)において、さらに5年間の計画(第1期)予定で研究を行うことになっている。
 1991年NECの飯島氏によりはじめて炭素棒の放電後の電極中からナノチューブが発見されて以来、高温炉レーザーアブレーション法(スモーリー教授)、溶融塩電解法(クロトー教授)、熱分解法(湯田坂博士)等の報告があるが、今回高真空中での低イオンエネルギービーム照射により、炭素ナノチューブが合成されることをはじめて見い出した。  高真空下(10- 6Torr)で、アモルファス炭素基板(10mm径)にアルゴンイオンビーム(5mm径)を60分程度照射したところ、基板のイオン照射部の外側周辺に放射状にナノチューブが配向されて生成していることが、見つかった。生成機構の詳細はまだ明らかではないが、アモルファス炭素基板に垂直にアルゴンイオンビームを照射すると、原子状炭素あるいは炭素イオンが基板表面から飛び出し、これらの原子状炭素や炭素イオンがお互いに衝突あるいはアルゴンイオンとも衝突を起こし、基板表面に炭素ナノチューブが成長していくと考えられる。生成されたナノチューブの走査型電子顕微鏡による直接観測から、イオンビームにより試料が直接スパッターされていない部分にナノチューブが放射状に成長していることが分かった。長さは10ミクロン以上のものが、多く得られた。
 炭素ナノチューブは、引っ張り強度が炭素繊維に比べ40倍高いことが、最近報告されている。また炭素ナノチューブの先端部に僅かな電界をかけることにより電子放出特性があることも確認されており、低消費電力による次世代フラットパネルディスプレーへの応用が期待されている。


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