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人口増加や経済発展にともなうエネルギー需要の増加により、利用し易い石油資源はいずれ枯渇し、将来的には石炭、超重質油などの低品位の化石燃料や、廃プラスチック、バイオマスなどの未利用有機物資源をエネルギー源として利用することが必要となろう。そのためには、有害物質や水分を多く含む低品位燃料が利用でき、しかも環境負荷の少ないクリーンな燃焼技術の開発が、資源有効利用と環境保全の立場から必要である。 水の臨界点を越えた温度・圧力条件下の超臨界水中で有機物を燃焼させると、窒素酸化物、硫黄酸化物、粉塵などが水中に捕捉されて、環境を汚染する有害排ガスを発生しないクリーンな燃焼が期待できる。この燃焼方法を利用して蒸気を発生させることにより、環境に優しい新しい発電システムを構成できる可能性がある。従来の火力発電、特に石炭火力発電ではNOx、SOx、煤じんなどの排ガスの環境放出基準を達成するために、使用する燃料は窒素分や硫黄分の含有量の少ない高品位なものに限定され、さらに、排ガス処理ために大きな設備と運転コストを費やしている。 今回、写真に示す実験装置を使用して、低品位燃料のモデル物質として褐炭(水分が多く燃料としてあまり利用されていない)を超臨界水中で燃焼させて燃焼挙動を調べたところ、環境に有害な成分を全く含まない清浄な排ガスが得られる見通しを得た。30MPa、600℃での燃焼では図に示すように排ガス中にNOxは検出されず、SO2も99%以上除去された。この燃焼技術を発電に応用すれば、硫黄分の多い低品位炭や超重質油等の経済的に資源価値の低い化石燃料、廃プラスチックや可燃性ごみ、水分の多いバイオマス、汚泥などの未利用資源を発電燃料として利用することができ、しかも排ガス処理設備が不要な環境に優しいクリーンな新しい発電方式となり得る。また、この方式ではCO2の分離回収が比較的簡単なため、その固定化が容易となる可能性がある。 今後、超臨界水中での燃焼メカニズム、灰分や塩等の固形分の性状や挙動、反応器材料の耐食性等を明らかにするとともに、水中に捕捉される硫黄分の中和方法や固形分の排出方法、CO2の分離回収方法、燃料や酸化剤の経済的な供給方法、発電方法などシステム化へ向けた検討を進めて行く。 本研究は、通商産業省工業技術院ニューサンシャイン計画のもとで(財)化学技術戦略推進機構が「超臨界流体利用技術先導研究開発」として、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)より委託を受けて、物質工学工業技術研究所と共同で、研究開発を進めている。 ![]() 超臨界水中燃焼試験装置の外観 ![]() 超臨界水中燃焼試験の燃焼排ガスの経時変化(600℃,30MPa) |