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世界最大の合成ゼオライト単結晶を創製


--気体分離膜・膜状反応器・燃料電池・オプトエレクトロニクス素子の基本動作を担うゼオライト材料の結晶成長基本技術を開発

(財)化学技術戦略推進機構 清水 愼一((株)クボタ出向)
物質工学工業技術研究所 機能表面化学部 濱田 秀昭


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 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である産業科学技術研究開発プロジェクト「独創的高機能材料創製技術−分子協調材料−ミクロポーラス材料」において、(財)化学技術戦略推進機構と当研究所のグループは、ゼオライトの応用分野の拡大に道を開く、ゼオライト結晶の形態制御技術[バルク体溶解(BMD)法]を開発し、この技術を応用することによって、世界最大級の大きさの単結晶ゼオライトを合成することに成功した。
 ゼオライトは多孔質の結晶性材料で、その細孔径やその間隔が正確に一定な物質である。分子篩とも呼ばれるこの物質は、細孔径が1ナノメートル(百万分の1ミリメートル)以下でちょうど低分子化合物の分子サイズと同程度であるため、産業分野でイオン交換材料、吸着分離材料及び触媒などとして用いられる重要な材料である。
 しかし、ゼオライトは一般に数〜数十マイクロメートル(千分の1ミリメートル)程度の小さな結晶で得られることが多く、その応用がきわめて限られていた。自由な形態のゼオライト結晶を製造する技術が開発できれば、従来実現することができなかった、分子篩膜による物質の分離、選択性の高い膜状形状選択触媒反応器、および内部抵抗の少ない固体電解質として、また、高性能蓄電池・燃料電池などの新たな応用分野に利用することができる。さらにゼオライトの規則的細孔に機能物質を埋め込むことで発生する量子効果を利用する新しい動作原理の電子素子・電子光学素子により、電子電気製品の性能が飛躍的に高性能化する可能性がある。
 ここで開発したバルク体溶解(BMD)法は、原料の二酸化珪素および酸化アルミニウム成分を固体(バルク体)表面から溶かし出し、その溶解速度を制御することで、ゼオライト結晶の形態を制御する技術である。この技術を応用することにより、大きなゼオライト単結晶の合成が可能であることが明らかとなった。BMD法は種々のゼオライトに適応可能な汎用的な方法で、既にANA、CAN、JBW、MFI及びSOD型ゼオライトについて巨大単結晶の合成に成功している。
 BMD法において使用する原料物質は、従来用いられていた粉末状またはコロイド状の原料ではなく、原料成分を含むガラス状原料塊または焼結体(石英ガラス、ムライト焼結体等)であることを特徴としている。例えば、溶融石英管の切片をテフロン製内筒の耐圧反応容器の中に置き、水酸化テトラプロピルアンモニウム、およびフッ化水素を含む溶液で満たし、その後100-200℃の恒温槽中で加熱することによって、3mmを超える世界最大のサイズのMFI型ゼオライト結晶が得られた。
 BMD法を適用すると、従来実現できなかったゼオライトの応用を可能にするものと考えられる。例えば、電子素子に利用できるサイズのゼオライト結晶が製造でき、超高密度記憶素子、高速応答性半導体電子/光学素子、高選択性センサー及び波長可変半導体レーザーなどへの応用が期待できる。更に、現状では十分な大きさのゼオライト膜が得られていないが、大きな結晶を並べること、及び今後のBMD法の展開により、この問題を解決できる可能性があり、その結果、分子篩膜、高選択性膜触媒反応器、面発光ゼオライトディスプレーなどに応用できる。BMD法で得られたゼオライト結晶は、内部抵抗の少ない固体電解質としても期待され、蓄電池・燃料電池等のエネルギー分野への応用を考えることもできる。
 本法により合成できる巨大単結晶ゼオライトは、省エネルギー、環境保全、及び高度情報化分野におけるキーマテリアルとして今後が大いに期待される。

BMD法で生成した最大のMFI型ゼオライト巨大単結晶
(スケールの最小刻みは0.1mmを示す)

BMD法の結晶化容器

BMD法で使用できる原料の例
 A:溶融石英製のガラス管切片
       B:シリカ・アルミナ製のセラミック管切片
 C:セラミック製試料焼成ポート

形態制御ゼオライトの応用


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